リースとレンタルの違いを簡単に解説、始まりと歴史の比較
目次
レンタルとは リースとは レンタルとリースの簡単な違い
「家具家電レンタルの達人」レンタルジャーナリストの神武です。
さて皆さんはレンタルとリースの違いをご存知ですか?レンタルやリースと聞いて何を思い浮かべますか?
レンタルと聞いて思い浮かぶものは「TSUTAYAのレンタルDVD」、「イベントや模擬店での機材レンタル」等ではないでしょうか。最近では「服のレンタル」、「掃除機のレンタル」、「家具家電」等、多くの物がレンタルされるようになってきていますね。簡単に言えば、不特定多数の方へ短期で貸し出すことが多いですね。
ではリースと言えば何を思い浮かべますか? 会社のコピー機、車、PC等ではないでしょうか。何となく法人で契約するイメージがあると思いますが、そのイメージ通りで正解です。簡単に言えば、指定した顧客へ長期間貸し出すことが多いですね。
最近では、レンタルやリースに似た仕組みとして「シェアリング」も広がっていますが、シェアリングについては別の機会で説明します。
この記事ではレンタルとリースの違いについてご説明しますので、最後まで読んでいただければ幸いです。
レンタルの始まりと歴史
日本でのレンタルの始まりは江戸時代の「損料屋」と言われています。「損料」とは、品物を貸すと品物価値が目減りしていくことになり、目減り分の損失補填の意味で「損料」という名称が付いたもので、現代で言うレンタルのことです。
損料屋では着物、布団や枕、釜や鍋など様々な物を貸していましたが、レンタル需要が一番高かった商品は、「貸しふんどし」だったそうです(苦笑)
現代の私たちにとってみれば理解しがたい「貸しふんどし」ですが、ふんどしがレンタルの主力商品であった事には時代背景があります。江戸時代では「ふんどしは安価ではなく」、「男がふんどしを洗うのは屈辱的な行為」と捉えられていました。そのため、見栄っ張りの江戸っ子は定期的に新しいふんどしをレンタルすることで威勢良く見栄が張れたということです
損料屋の仕組みも今のレンタルと少し違う点があり、損料屋では損料(レンタル料金)に加え一時預け金を支払う必要がありました。現代で言うホテルのデポジットに近いもので、預け金はレンタル商品返却と引き換えに返金される仕組みです。ところが、借りた物を返さずに又貸しや質屋売却などが横行し、商品の返却率が非常に低かったため、損料より預け金が凄く高額だったと言われています。
このように現代では当たり前のレンタルは、江戸時代から始まったわけであります。
リースの始まりと歴史
日本でのリースの始まりは、1964年東京五輪の一年前、1963年日本リース・インターナショナル会社設立が始まりだと捉えられています。
この当時は高度経済成長期で、日本中の会社が、銀行から限界まで融資を受けて業容を拡大していました。そのため銀行融資以外の資金調達資金として、リース手法が注目を浴びることになり、また当時はリースに関するルール規制が余り整備されていなかったため、大企業を中心にリースの活用が一挙に拡大しました。
リース市場の急速な拡大で税務会計に与える影響も大きくなり、1978年国税庁リース通達を皮切りに本格的なルール規制が敷かれることになりました。その後1990年代まではリース市場は拡大し、それ以降は横ばいが続いていましたが、2008年新リース会計基準適用やIFRS新リース会計基準問題以降は、少しずつリース市場の縮小が続いています。
ご参考として、リース事業協会発表の統計によりますと、リース市場(リース取扱高)規模は1991年8兆8,016億円 2008年6兆564億円 2016年5兆203億円と推移してきております。
レンタルとリースの簡単な比較と違いまとめ
レンタルとリースの一般的な違いをまとめたました。(個別契約により異なる場合もあります)
レンタル | リース | |
---|---|---|
ユーザー | 個人/法人 | ほとんどが法人 |
商品選択 | レンタル会社保有の商品から選ぶ | 自分で希望商品を指定できる |
商品の所有者 | レンタル会社 | リース会社 |
賃貸期間 | 短い(日単位~数年) | 長い(年単位) |
賃貸終了後 | レンタル会社に返却 | リース会社に返却 |
審査 | 簡単な審査 | 決算書や計画を提出して審査 |
料金 | 誰でも同じ金額 | 審査結果に応じて金額が異なる |
保守・修理費用 | レンタル会社負担 | ユーザー負担 |
レンタルとリースの内容を簡単にまとめますと、
<レンタル>
利用者は個人ユーザーが多く、レンタル会社が保有している商品の中から借りたい商品を選びます。レンタル期間は数日から数年の短期で、簡単な審査で手軽に借りることができます。
<リース>
事業主や法人企業向けのサービスで、こちらから借りたい商品を指定することもできます。申込には審査が必要で、決算書等の提出が必要となります。手続きが煩雑ですが、業績に応じてリース料金が安くなったり、会計処理において資産計上できるなど、商売をする中でメリットが見出せる場合もあります。
大雑把に言えば、レンタルは個人契約で短期、リースは法人契約で中長期という理解で良いと思います。学問や会計上で言えばレンタルとリースは異なるのですが、この記事では詳細は敢えて省略しています。
割賦購入とは リースとは レンタルとは それぞれの特徴を解説
割賦購入とは
割賦購入とは、簡単に言えばローン購入のことです。
例えば300万円の車を5年ローンで購入した場合、300万円÷60ヶ月(5年)=毎月5万円の支払いとなり、これに借入利息が加わるので、実際の毎月支払金額は5万円+利息となります。
<割賦購入の特徴>
・審査があり、決算書や収入証明書の提出が必要となります。また業績や収入によって金利が変わります。
・購入時に一括資金を用意する必要がありませんので、少ない手持ち資金で大きな買い物ができます。
・所有権が自分にあるので、売却して現金化することができます。
・借入利息を支払う必要があるので、一括購入に比べて損となります。
・自分でメンテナンス維持する必要があります。
レンタルとは
レンタルとは、一般的に短期間借りることです。
借りることができる商品はレンタカー、本、DVDなど多くありますが、レンタル会社が提示している商品群の中から選ぶことになります。
<レンタルの特徴>
・手軽に必要な期間だけ借りることができます。
・所有権はレンタル会社にありますので、レンタル期間が終了すれば商品を返却します。
・一般的には中古商品をレンタルすることになります。
・リース支払費用は販売管理費で経費計上することができます。
・レンタル会社にある商品の中から選ぶので、自分でこだわった商品選びはできません。
リースとは
リースとは、一般的に中~長期間借りることです。
借りたい商品を自分で指定することができます。指定した商品をリース会社が購入したうえで、自分とリース会社とのリース契約となります。
<リースの特徴>
・審査があり、決算書や収入証明書の提出が必要となります。また業績や収入によって金利が変わります。
・リース支払費用は販売管理費で経費計上することができます。
・所有権はリース会社にありますので、リース期間が終了すれば商品を返却することになります。
・当初契約内容によっては、リース期間終了時に買取や再リースを選択することができます。
・自分で商品や仕様を指定することができます。
・リース契約によりますが、メンテナンス維持をリース会社に任せることができます。
レンタル借りる生活の時代到来 多様化した価値観
レンタルとリースの違いを説明してきましたが、最近ではシェアリングとの比較も広がってきています。いずれにせよ現代においては物を持たずに物を借りる共有するという生活が広まってきています。
持ち家や車を典型例とした「必要な物は何とか手に入れて自己所有するべきである」という常識観念が変わって「持つ」から「持たずに借りる、共有する」という文化が日本人の生活や価値観に浸透してきました。
こうした変化を突き詰めて考えると、「庭付き一戸建ての家に住み、夫婦子供家族4人で生活し、カローラに乗って平和な人生を送る」というかつて多くの日本人が憧れた共通の人生像が共通でなくなり、個人の生き方や価値観が多様化してきたということではないでしょうか。